
MEMBER
刺激をもらえるような人たちが集まるような酒場を作りたい
―原尾 輝永 店長
日本でも猛威を振るったウィルスにコロナ、COVID-19なんて名前が定着する少し前に20歳で入社し現在は大衆イタリアンかね子秋葉原店の店長を勤める原尾氏(以降リヒト)
バスケットボールに明け暮れた高校時代、卒業後は愛知県の自動車工場に勤めるも退社し、地元宮崎へ帰る。その時に久しぶりに再会した親戚から『知り合いが東京で飲食店をやってるからどや。』と声をかけられる。
『特に何かやりたいとかはなかったんです。飲食に興味も全然なかったですし。本当流れで。』そう話すリヒトが唯一惹かれたのが東京というワードだった。
音楽やファッションなどのカルチャーに傾倒いていたリヒトにとって『東京』という街は自分が好きが詰まっていた。地名の響きに誘われるままに上京を決意した。

後悔ないようにやりきりたい
成人で解禁される嗜好品の一つであるアルコール。
そんな嗜好品を楽しめる年齢になったばかりのリヒトは居酒屋に行き慣れてなければ、焼きとんも食べたことはない。
飲食業も未経験、大衆酒場の暖簾をくぐったこともない中で弊社の1号店『金子屋 秋葉原店』で働き始める。
大衆酒場を楽しむ間もなく、直後に襲い掛かるパンデミックという聞いたことのない横文字。
緊急事態宣言なんて日本語ですら映画以外で見る文字ではなかった。
前例のない状況。もちろん飲食店は営業できない。
宮崎へ戻る選択もある中『ここで帰ったら一生地元にいるんだろうなって思って。逆に東京に出てきた意味を考え初めて。後悔ないようにやり切りたいなと。』そう思い東京、飲食の世界に残る事を決意する。
自粛も緩和され、人が集う場として飲食店に活気が戻る中で、飲食未経験の青年は頭角を現し、任せられる店長に成長していく。

コミュニティにしたい
抽象的な表現だがリヒトの働く店は雰囲気がいい。
大衆酒場特有の活気にあふれたフロア。お客様は笑顔で飲食を楽しむ。満席でバタバタなはずなのに笑顔のスタッフ。そんな雰囲気を作り上げるスタッフたちに意識してることがあるか聞いてみるとこんな答えが返ってくる。
『独りぼっちを作らないようにしてます。働いてる人たちが自分のお店を好きになってほしいし、働くだけの場所じゃもったいないと。そこに行けば会いたい人に会えるみたいなコミュニティにしたいと思っています。以前はシフトも少なかったのに、掛け持ちもやめてうち一本にしてくれたり、シフト困ってるなら早めに行きましょうかって言ってくれるようになったりして。』そんなことをサラっといえる店長のお店にはスタッフが定着するわけだ。実際リヒトと働いたスタッフでアルバイトから社員になった人もいるし、その理由が垣間見えた気がする。
売上という結果はあくまで人が持ってくるもの。お客様もスタッフも含め人が集まる場所には必ず理由がある。

刺激をもらえるような人たちが集まるような酒場を作りたい
そんな彼とは時間を合わせて食事に行くことも多い。
せっかくならば、と思い、見てもらいたい、感じてもらいたいお店などをピックし向かうと『最高ですねここの雰囲気』『接客してもらってて、これマニュアルじゃないなとか、その人の経験からくる動きだったり言動だったりがイカしてるなって。同じ飲食人としても尊敬するというか。うち以外の所に行っても学ぶ事ってすごく多いんです。』という感想がでる。
『自分のアレンジ、スタッフの色だったりを引き出していったり、自分たちのやりたい事のエッセンスを加えることによって、いろんなことができるんだなって思う。』
キリがないくらい出てくる言葉。良いものを吸収し自分のスタイルに落としこむ姿勢。こちらへのパフォーマンスとして話してるかどうかは彼の店舗を見れば答え合わせができるはず。
今後の展望について『ここまで来たら飲食をずっと続けていきたいんです。好きな音楽、お洒落な人、刺激をもらえるような人たちが集まるような酒場を作りたい。』そう話すリヒトが作る、人が集う大衆酒場を本気で見てみたいと思う。
STAFF
TEXT: Masami Wakasa
PHOTO: Yuta Kobayashi
September, 2026