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「いつもとちがういつもの」な皿

日本三大焼き物といえば美濃焼き(岐阜県)、瀬戸焼(愛知県)、有田焼(佐賀県)が良くあげられるが、その中でも日本最古の磁器として有名な有田焼。
透明感のある白い素地と美しい色鮮やかな絵付けが特徴的で、高級品や美術品として国内にとどまらず長きにわたり海外からも評価されてきた日本が誇る焼き物の一つであることは皆様も周知の事実だろう。
この度特別なご縁があり、弊社が前々から急願していたいわゆる「オリジナル皿」を製作することが叶った。
その製作品がまさしく冒頭で触れた有田焼である。

佐賀県は西部、有田町、伊万里市周辺で製造されている磁器。
山や川に囲まれた自然豊かな地形、周辺には約400年にも渡り代々にわたって受け継がれた数々の窯元が2026年になった今でも灯をともしている。
この度弊社が製作依頼をお願いした窯元は佐賀県有田町にある「株式会社 匠」さん。
今年で30年目を迎える有田焼きっての老舗窯元である。
弊社も2025年(昨年になる)に2度訪問することができ、打合せをする機会をいただいた。
今回はその内容についてお伝えしていきたい。

さて、有田焼といえば陶石を原料とし、約1300度で焼き上げる手法として有名だ。
いわゆる「磁器」なのだが、粘土状の土から作るごつごつした陶器と違い、薄く軽く滑らかな肌触りが特徴手的だ。
しかし有田焼の真骨頂はそこだけではない。
陶器との違いはその圧倒的な強度にある。
元々匠さんは会社独自で作り上げた強化磁器を専門とし、給食皿などの製造をメインに展開していたそうです。
平成28年を皮切りに、外食産業や飲食店の方の器皿製作にも力を入れ始めた経緯がり、今では全国に何百という店舗数の皿器を製作している。
今回は2度にわたり訪問させていただいたのだが、匠さんのショールームは圧巻の一言に尽きる。
数えきれない数の飲食店におけるオリジナル皿がずらりと並んでいる。
見るだけで1時間やそこらでは到底見切れない量と情報量。
我々も有田焼の歴史から始まり、器それぞれの構造や形状など、覚えきれないほどの情報量にただただ圧倒されるばかりでした。
弊社の製作チームのデザイン部メンバーもこの膨大なインプットにとにかく苦労したことは言うまでもないだろう。
また、窯元を何件も連れて行って頂き、実際に作っているところや窯などを見学することができた。
それぞれの窯元にある倉庫や蔵には何百という種類の有田焼の在庫が所狭しと並んでいる。
弊社の料理人兼商品開発のメンバーが目をぎらぎらと輝かせている姿は容易に想像できる。
一軒でさえちゃんと見ようとしたらそれこそ半日作業だが、それが何件もあるんだからすべて理解するには年単位の時間が必要だろう。
飲食人としてまたゼロ一を作る側としては贅沢すぎるくらいの体験だったことは言うまでもない。
弊社のクリエイティブ本部メンバーは勿論の事、現場で腕を振るう料理人や商品開発のメンバーにとってもとても貴重な体験や経験になったことは間違いないだろう。
改めて匠さん含め、有田焼の蔵元の方々にこの場をかりて感謝の意を伝えたい。

オリジナル皿は数あるサンプルの中から、弊社のメインである「大衆イタリアンかね子」と「大衆飯店かね子」のオリジナル皿を選ばせていただきました。
ここではそれらのお皿を少しご紹介したい。
まずはイタリアンの方だが、弊社がチョイスしたのはもつ煮皿、串皿、取り皿の3種。
大衆酒場として、また焼きとん屋として「もつ煮と串」は絶対に外せないポイントだった。
本来はもう少し製作したかったのが本音ですが、今回予算の関係で止む無くこの三つに絞り込むことに。
どれも純白の素地を選び、もつ煮はボール状、串は長方形の角皿、取り皿は使い勝手良い丸皿を起用。
大衆なのでテーブルサイズが通常の居酒屋より小さいため、サイズ感には取り分け拘った。
デザインはというと、シンプルに緑の一色に統一。
それぞれ淵には手書きで入れるラインをチョイスし、イタリアンということもあり和皿だがパッと見洋皿にも見えるところがポイントだ。
ロゴはお皿の一番目につく位置に定め、シンプルだがどこか新しさを感じられるデザインになったと言える。
弊社の企業理念のMissionにある「いつもとちがういつもの」をしっかり再現したオリジナル皿と言えるだろう。
そして大衆飯店の方はと言うと、こちらもイタリアン同様に、大衆だがエスニック感をだしたかったので、白磁器ではなくあえての青磁風を選定。
青磁については奥が深く、それについて話すととても長くなるため今回それについてはまたの機会に。
匠さんが製作する青磁風のお皿は色が何といっても格別だ。
青磁特有の青空のような色とは少し異なる色を表現している。
どちらかというとエメラルドグリーンやティファニーブルーに近い印象で、他の青磁とは被らないまさにオリジナル皿に適した個性ある色に仕上がっている。
デザインはというとこちらも飯店らしく赤色で統一。
もつ煮皿のボール状、オーバル皿の餃子皿、取り皿の丸皿である。
中華っぽくもあり、アジアンでもある、そして何より大衆感もしっかり担保されているから驚きだ。
ロゴに関してはイタリアン同様に一番欲しいところに。

ここで少し弊社のロゴについて触れさせていただきたい。
弊社には業態ごとにメインの決められたオフィシャルロゴがある。
普遍的で毎回変わらないのが特徴だ。
オリジナルロゴについてはあえてここでは触れずまた機会があればそれについては特集しようと思う。
対してサブロゴというものがある。
こちらは出店するたびに毎回作っているその店舗特有のロゴだ。
同じ業態でも場所や物件によって少しずつ世界観が違います、弊社ではその町や建物が持っている独特の世界観を大事に、また調和できるようにと毎回コンセプト含め作り直しています。
それがこのオリジナルロゴを通して表現されている。
オリジナル皿にその店舗独自のオリジナルロゴ(サブロゴ)を刻印します。
そういった気づかないところにも想いを乗せてデザインする。
それこそがオリジナル皿の特権であり作る上での約束のようにも感じます。

長くなりましたが、こういった経緯で出来上がったオリジナル皿は勇逸無二の産物として店舗で活躍していくだろう。
ここではデザインについて少し説明したが、機能としても目を見張るところがある。
実際に使ってみた反応として、店舗からは「割れない」と言う報告が多数あり、実際に発注も初回だけで収まっているのが現状だ。
皿や器の破損は弊社としてもネックだった部分が大きいが、そこが解消される兆しが見えるところも単純に喜ばしいことだろう。
そして機能性からくる器の美しさも格別だ。
英語ではよくFunctional Beautyと言われることが多いが、いわゆる俗にゆう機能美である。
有田焼には磁器特有の強度を活かした作りが独特の美を生み出していると言っても過言ではない。
そんな有田焼とのコラボがこの度実現できたこと、またそれを使っていく上での喜び。
「いつもとちがういつもの」を表現する上で、焼き物という文化に加担できたことに誇りを感じるとともに、お皿も店舗の一部であり、自分たちの商品と真剣に向き合うきっかけになりました。
まだまだ青二才ですが同じ食文化を守っていく立場として、この度匠さんとコラボできたことに感謝と敬意を持って営業していきます。
今現在、匠さんプロデュースのお皿を起用している店舗は4店舗になりますが、今後も有田焼を起用していくので、新店舗や新規格に期待したい。

STAFF
TEXT:Yuta Kobayashi
September, 2026